Prologue

プロローグ

この世界が出来たそのとき、
どこからともなく鐘の音が響いてきたという。


鐘の姿も見えないのに。
暗いくらい闇の奥から。
まるでこの闇が壊れることを広く知らしめるように。


だからだろうか。
そこでは鐘の音はひどく厭われていた。
全てを壊す根源の音だと思わせたから。


人は平穏を望む。
人は安寧を望む。
そうして人はやがて変化を拒むようになり、
時を経て老いることを拒むようになった。



誰も知らない。
闇の終わりの鐘の音は、即ち光の始まりの音色と等しいことを。






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