Gladsheim



死んだ人は天国に行くのだと聞いたもの

遥か天高く、きっとあの人は私を待っている


回想録





あの日 押し寄せる 空のあおさに
微笑みさえ ふと 浮かべたあなたは
立ち昇る 白い雲に連れ去られたように
私を置いて 眠りについた

ある人は私に言った
「彼は少し旅に出たんだ」と
それが ただの気休めだと 知ってはいたけれど
だけど、死んだ人が天の向こうに行くならば…

遥か空へ 羽ばたいていけば
あなたに逢えるだろう
雲の海 星の河を越え 彼方へ

夢を見た
光る風 うるわしい景色の深い靄
むこうがわからあなたの影

「ここへ来てはいけないよ
だって彼の手には
まだ、しわくちゃになる権利があるのだから」
遠ざかる声

目覚めの果て 緑のデーヴァローカ
差した木漏れ日を見上げた私は
ああ、オーディンは不届きな我ら、人間の
叶わぬ夢を許さないんだろう

折れたイカロスの翼には
この空は高すぎた
引き返す 暇もなく

(そうだ、)

私 そうよ 最初から知ってた
あなたは この世界の どこにもいない







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