Track:03
idea









指先に触れた 君の細い首に
そっと力を込めると ゆがむ君の顔
それでも そのくちびるが弧を描くのに
僕が恋したのは 果たして誰だったのか


水面の中で笑う君が僕に言った
「あいしてる」
だけど 僕のくちびるが紡ぐ
同じ発音の“Love”が耳に届くたびに
僕は何度も 倒錯に身を堕とす


僕が愛しているのは
君なのか? 僕なのか
問うてみても
応えるのは 僕 ひとりだけ


女は男の肋骨から生まれたという
それじゃ、君の宿る場所は 僕の一部で
僕ら きっと生まれ損ねたアダムとイヴが
何千年も経って ここに辿りついたの


いくら傷つけてみても
その声は 止まないけど
君の歌は 脳髄まで広がっても
誰も僕を認めてなどくれない


真実はまだ 見たくはないけれど
メランコリアが溜まる 掃溜めの底で
きっと僕が死ぬときに
僕は僕になり
その果ての快楽で 僕は 君に出会うだろう


指先に触れた 銀の細い刃に
そっと力を込めると 伝うこの血潮
この痛みの待つ その先から奏でられた
君の歌声 耳をすましてたど る






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