ここは彼女の夢の世界

目が覚めたら彼は消えてしまう







さあ!ここにお集まりの皆様!
ひとつ昔話をはじめようか
これは国から消えたひとりの従者と
可愛い姫君の恋物語さ

可愛い姫君の大好きな兄は
海に沈み帰らぬひととなった
嘆き悲しむ姫に優しい従者は
彼女の耳元で甘くささやいた

僕のたいせつな可愛いポルカ
ひとつ魔法の呪文を教えようか
これを唱えれば僕はいつだって
必ず君の元へ戻ってくるから

たったひとつの約束が
たったひとつだった偽りが
守りたいから、彼は泣きながら
数多の嘘をつきつづけた

瞳を失くした花畑のポルカ
視力と引き換えに得たものとは?
嘘めいた約束を真実にして
愛しい彼の元へ帰ってきた

ねえ、トラム
たったひとつの約束が
たったひとつだった夢のような
希望が どうしても愛しすぎて
あなたを永久に閉じ込めた

駆ける鳥も、星も 蝶も風も
友達も親も なにもかもいらない
この世界には彼がいればいいから
そこは、ウツロな花畑

きっとそう、大丈夫 ふたり共にあれば
この世界にも美しい花が咲くはずだから
もう、大丈夫 怖がらないでいいよ
私、永久にあなたのために 生きていくから
僕は 永久に君のために 生きていくから

たとえ、この世界が 僕を縛る檻でも
それが君の作るものなら 愛しいんだよ
ポルカ、君の目から見える世界が
麗しいものであるように 僕はなんでもする

歯車がもう止まらなくても
愛しい日はあなたの隣にあるから
約束が永久になるようにと
今 願いを込めてあなたを解き放つの

ウツロな声の響く そこは禁断の扉
約束を守るためだけの箱庭
さあ!もう舞台は幕引きさ
夢はもう覚める時間さ
今 真実を告げて 世界とはもうさよならさ

夢の世界を
響く鐘の音を
奏でる そう、君は

花畑のポルカ






 

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