語り疲れて眠ってしまった男が、目覚めたときに見たものは信じられないもの。
ぼろの家は埃まみれで明かりのひとつもなく、
隙間風が入る寒々しい壊れた扉。
とても人が住めるようには見えず、
当然のように妻の姿はどこを探しても見えなかった。
いつまでも夫を待ち続けた貞淑な妻。
幻覚は夢のように消え去って、男は廃墟にひとり取り残されていた。
銀河、秋を告るまで
今日もあなたは帰らない
隣の隙間は空いたまま
今年も秋が過ぎてゆくの
あおいろに染まる視界の彼方の空に歪む世界は
私を置いてずっと回ってゆくの
約束はどこまでも褪せぬまま
あなたの顔も朧に消えて 思い出せなくなる
逢えない 刹那にあなたを想う
水底に沈む影は遠く
どうして?霞んでいってしまうのだろう
あなたに会いたいのに
気まぐれなあなたのことだから
私が恋うのも届かぬのは
わかりきっていたけれど
夜の世界は 暗く 冷たく
あなたの名前を何度も紡ぐ
いつかは 連れ去られてしまうのだろう
あなたに会えないのに
二度と会えぬ別れだとしても
おかえりって言ってあげられなくても
私は こうやって待ち続けるのだろう
あなたに会いたいから
あなただけに会いたいから